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■夏の体調改善には新ショウガ ショウガは1年を通して店頭に並んでいるが、新ショウガが出回り始めるの は6月ごろから夏過ぎにかけて。前年に収穫された貯蔵品のショウガとは違っ てクリーム色の皮の端がほのかに赤く色づいており、みずみずしい香りが特長 だ。薬味はもちろんだが、酢漬けなどにすると食欲の落ちる夏の箸休めに最適 な一品となる。「はじかみ」という別名を持つが、山椒(さんしょう)の古名 と同じだけあって、ぴりっとした特有の辛味が料理の味を引き立てる。 この辛味がショウガの身上だ。辛味成分のジンゲロンとショウガオールは、 肉や魚の生臭みを消すと同時に強い抗菌作用を発揮する。生ものの鮮度が落ち やすいこれからの時期は、食中毒の予防にも効果的だ。また、血管の拡張や増 強作用、血圧を下げる作用、血中コレステロールを減少する作用があるので、 生活習慣病を予防する働きもある。血液の循環が良くなり新陳代謝が円滑にな るので、冷房による体の冷えを緩和する効果もあるという。 また、香り成分のシネオール、ジンゲロールなどは消炎、発汗、保温などの 作用を持つので、風邪の初期症状の改善に効果がある。江戸時代には、夏バテ 防止法としてショウガの絞り汁を入れた甘酒を飲んでいたという。ショウガが 荒れた胃の粘膜を修復して弱った胃腸を回復させることを実感していたようだ。 ショウガはインドなどの熱帯アジアが原産地。そこから世界中に広まっただ けに、香辛料や薬味、漬物、お菓子やお茶など和・洋・中・エスニック料理に 幅広く使われている万能の野菜だ。夏の料理にもふんだんに取り入れたい。 さて、新ショウガを買うときには皮に張りがあってみずみずしいものを選ぼ う。保管するときには、湿らせた紙に包んで日のあたらない場所で。冷蔵庫の 野菜室では温度が低すぎるし、水分が失われてしまう。栄養成分は皮のすぐ下 にたっぷりと含まれているので、皮をむかずに料理に使うのがコツだ。 |
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