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■ 初夏の宝石さくらんぼ 相次ぐ大量盗難事件で注目を集めている「さくらんぼ」。驚くような高値で 売られていたハウス栽培ものに代わって路地ものが店頭に並ぶと、ちょっとし た贅沢を楽しんでみようという気になる。さわやかな甘酸っぱさは初夏の恵み だ。 くだものは嗜好品と思われているようだが、意外な力をもっている。さくら んぼも例外ではなく、虫歯予防や便秘解消に効果を発揮するソルビトール(糖 質)が豊富に含まれる。糖度が高いのにさっぱりしているのはこの成分のおか げだ。また、腸内のビフィズス菌を増やす働きがあるので整腸作用もある。ル ビーにもたとえられる赤い色のもとは抗酸化物質のアントシアニンで、疲れ目 を癒したり視力を向上させるという。生活習慣病や老化の原因となる活性酸素 の生成を抑える力もあり、まさに「機能性食品」といえる。 それならばたくさん食べたいところだが、さくらんぼの旬は短い。日本一の 収穫量を誇る山形産や第2位の山梨産が終わりに近づくと、さくらんぼ前線は 津軽海峡を渡って北海道に移っていく。いずれにしても、各産地ごとの収穫時 期は早生種(高砂など)・中生種(佐藤錦など)・晩生種(ナポレオンや紅秀 峰など)を合わせても1カ月ほどという初夏だけの味覚だ。 さて、さくらんぼは出盛りの時期が梅雨と重なるのに、雨に当たると実が割 れてしまうデリケートなくだものだ。雨よけハウスと呼ばれるビニール屋根で 木を覆い、実全体によく陽が当たるように地面には反射シートを敷いて大切に 育てられる。また、果肉が軟らかいので日持ちがしないという、農家にとって は手の掛かる作物だ。価格が安くならないのも納得できる。 買うときに値札を見ると慎重に選ぼうという気になるが、見分け方のコツは 軸が太くて緑色で、果皮の色艶が良いこと。鮮度が命のくだものなので、思い 切り良く食べきろう。よく冷やすと甘みが引き立つのでお試しを。 |
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