小正月は小豆(あずき)で邪気払い
 今日(1月15日)は小正月。秋田の男鹿半島一帯では「なまはげ」が家々に
現われて、悪事を戒めつつ一家の幸福を祈り、そのほかにも各地で正月飾りを
焼く「どんど焼き」や「左義長(さぎちょう)焼き」が行なわれる(14日に行
なう地域もある)。また、小豆粥(あずきがゆ)を食べる習慣は、『土佐日記』
にも書かれているほど古い歴史をもち、現在でも全国的に行なわれている小正
月の邪気払いの慣わしだ。

 なぜ、小豆粥が邪気払いになるのか? その訳は小豆の色にある。昔から日
本では赤色に魔よけの効果があるとされており、「ハレの日」には小豆を食べ
て厄を払って無病息災を祈ったという。これは小豆の優れた栄養からいっても
理にかなっている習慣だ。小豆の赤色の成分はアントシアニン。肝機能を改善
し、疲れ目を癒す物質として脚光を浴びているものだ。血小板の凝集を防ぐ効
果もあるので血液をサラサラにしてくれる。これを有効に摂取するためには、
ゆで汁を捨てないことだ。

 そのほかにもたんぱく質、美肌効果と新陳代謝を助けるビタミンB群、カル
シウムや鉄などのミネラル、食物繊維が豊富に含まれている。また、200種類
以上の病気の原因といわれている活性酸素を除去するポリフェノールも非常に
多いので、現代人の病気予防には欠かせない食品だろう。乾燥豆の料理は面倒
だと考えがちだが、魔法瓶に良く洗った小豆と熱湯を一緒に入れておけば数時
間で軟らかくなるし、アクのないきれいな色のゆで汁ができる。

 和菓子や赤飯、煮物と料理法も多いが、とくに小豆粥には解毒(アミノ酸の
一種のリジン)、利尿(外皮に含まれるサポニン)の薬効があるとされている。
千年以上も続いている小正月の習慣を絶やさないためにも、正月で疲れた胃を
休めるためにも、今日は小豆粥を食べながら家族の健康を祈ってみてはいかが
だろうか。