■紀元前からあった「にんにく健康法」
  6月に入ると、にんにくの主産地・青森県からコクと旨みのある新にんにく
の出荷が始まる。すでに出回っている香川県産(生産量第2位)は、強い香り
とみずみずしさが特徴で、タタキの薬味などに最適だ。蒸し暑い時期を前にし
てスタミナ野菜のにんにくが収穫されるとは、自然の采配はうまくできている。

 さて、にんにくの特徴は独特のにおいだが、あのにおいの元はアリシンとい
う成分で薬理効果がある。疲労を防ぐビタミンB1を活性化するだけでなく、ス
タミナ補給や胃腸に働きかけて消化を促進する。また、風邪などの原因になる
連鎖球菌やブドウ状球菌などの抗菌力がある。スコルジニンという成分にも疲
労回復や新陳代謝を高めるなどの強壮効果や、食欲増進、動脈硬化、冷えを予
防する効果などがある。

 にんにくが日本に入ってきたのは奈良時代だといわれているが、生産量が伸
びたのは戦後になってからだ。食生活が多様化して香辛料・調味料や食材とし
て利用されるようになっただけでなく、健康食品として注目されるようになっ
たからだろう。しかし、にんにくは紀元前1550年ごろのエジプトの古文書にも
薬や強壮剤として利用していたという記録があるし、ギリシア・ローマ時代に
は強精薬や傷薬、血圧を下げる薬など万能薬として使われていたという。世界
の多くの地域で健康やスタミナを保つ薬用植物として栽培され、食されていた
ようだ。

 梅雨時や夏の健康増進にぴったりのにんにくだが、薬理効果が大きいだけに
食べすぎは体に毒。胃の粘膜を傷つけたり腸内の善玉菌まで弱らせてしまうの
で、生なら1日1片程度、加熱したものでも2〜3片程度にしよう。