生活習慣病の予防にらっきょう

 らっきょうの甘酢漬けはカレーライスの名脇役だ。カレーの辛味をやわらげ
て口の中をさっぱりとさせるだけでなく、しゃきっとした歯ごたえが箸休めの
役割も果たしてくれる。独特のにおい成分である硫化アリルが消化液の分泌を
促すので、脂肪分が多いカレーとの組み合わせはとても合理的だ。また、食物
繊維も豊富で、整腸作用や有害物質の排出を促してコレステロール値を下げる
働きもある。

 小石川薬園(現・小石川植物園)でも栽培されていたらっきょうは、体を温
めて血行を良くする漢方生薬として古くから用いられていた。現在では、豊富
なアミノ酸がアドレナリンの分泌を促進して、血流を良くするとともに体内の
糖や脂肪を燃やす働きをしていることが科学的に裏付けられている。また、リ
ンパ球を活性化するので、病原体に対する免疫力が高まるという。らっきょう
といえば甘酢漬けが定番だが、日本人の摂取量が少ないと指摘されている酢も
一緒に取れるので、健康効果はより高まる。1日に5粒ほど食べると、生活習
慣病の予防効果があるといわれている。

 さて、日本の伝統食のらっきょう漬けだが、すでに甘酢漬けに加工されてい
るものの約9割は中国、台湾などからの輸入品が使われているそうだ。国産品
を、という向きにはこれから出回る鹿児島や鳥取、宮崎などのとれたてを漬け
込んでみては。最近は、根付きらっきょうと一緒に「漬け酢」も販売されてい
るので、初めてでも簡単に漬けられる。5月に漬け込めば梅雨時には味が良く
なって、蒸し暑さで弱った体の栄養補給に最適な保存食となるだろう。

 今は生のらっきょうが手に入る時期なので、ちょっと目先を変えて炒め物に
加えたり、酢味噌和え、天ぷら、フライなどで旬を楽しむのもよい。歯ごたえ
と独特の香りが食欲をそそる1品になる。根付きのものは芽が出やすく球が緑
に変色しやすいため、漬け込むにしても料理するにしても鮮度が落ちないうち
に使おう。