ピロリ菌退治に「フコイダン」

 現代人のウイークポイントは消化器官といわれている。とくに最初の消化器
官である胃は、過食や刺激物・脂肪分の多い食事、ストレスなどで痛みやすい
部位だという。弱っている胃壁を保護し、傷ついた部分の修復に力を発揮する
のがフコイダンだ。これは食物繊維の一種で、モズク、ひじき、こんぶ、わか
め、メカブなどの褐藻類の表面を覆っているヌルヌルした成分を指す。

 フコイダンを組成する重要な成分は「硫酸基」で、胃粘膜にも同じ成分が含
まれている。そのため人間の胃壁によく馴染み、胃全体に広がってバリアの働
きをするという。胃潰瘍や胃がんの原因といわれるピロリ菌が胃壁に直接付く
のを防ぐだけでなく、菌を張り付けたまま腸まで運んでしまう。除菌が難しい
ピロリ菌退治に優れた効果を発揮するのだ。また、胃粘膜の表面に浸透して、
炎症部分に新しい細胞を作り出して潰瘍を修復するという。

 では、フコイダンを効率よく摂取するにはどうすればいいのだろう。褐藻類
とはいっても、とくに多く含まれるのはモズク、ひじき、メカブだ。ひじきの
煮物やひじきご飯はお馴染みのメニューだが、フコイダンの力をより一層引き
出すには酢が欠かせない。フコイダンは潮流や微生物から身を守るために、複
雑にからまりあって褐藻に付着している。しかし酢を加えると、ほどけて胃壁
に広がりやすくなる。モズク酢やメカブの酢味噌和えなど、酢を加えた料理法
がおすすめだ。

 フコイダンの研究が進み、その効果が明らかになるにつれ、これまで海藻類
をあまり食べなかった欧米人も健康食品として食事に取り入れ始めているとい
う。日本では伝統食の海藻類だが、これまで以上に食事に取り入れる工夫をし
たいものだ。